情報通信部門への配属、初めての営業──迷いながらも貫いた“軸”
「理系に進んだけれど、この学びを社会でどう役立てられるのだろう」──そんな疑問を抱いたことはありませんか。研究を続けるのか、社会に出るのか。専門を極めるのか、違う分野に挑戦するのか。その選択に迷う瞬間は、きっと誰にでもあるはずです。
私は大学院で地震をテーマに研究を続けていたときから、いつも心の中に「人の暮らしを守る技術に関わりたい」という想いがありました。しかし、その想いをどう形にしていくべきか、はっきりとは見えていませんでした。
当社に入社しての道のりは、予想もしなかった出会いとの連続でした。専門外の分野への挑戦、営業職への転身──決断の際に、私を突き動かし続けたのは「防災に役立ちたい」という軸でした。

私が理系に進んだ理由はとてもシンプルでした。小さいころから国語が苦手で、反対に数学や理科の問題を解くのが楽しく、得意だったからです。
高校生のころは天文学に興味があり、その分野が学べる地球環境学を専攻。しかし、入学後に選んだ研究テーマは「地震」でした。鹿児島出身ということもあって、熊本地震や桜島の噴火といった災害を身近に感じていたことが大きな理由です。そうした災害が起きるたび、「自分にも何かできることがあるのではないか」と感じるようになり、自然と防災への関心が深まりました。
専門的に学ぶ中で、“人の命や暮らしを守る”ことに対する重要性を意識するようになっていきました。
就職活動の軸も明確で、最も重視したのは「防災に関われる会社かどうか」でした。
構造計画研究所のことは、大学の教授の教え子が在籍していたことをきっかけに知りました。地震解析をしている会社だと知り、強く惹かれました。その後、夏のインターンシップにも参加して約2週間、現場で仕事を体験。組織の雰囲気も自分に合っていると感じました。
入社後は、複数の部署をローテーションで経験する機会がありました。その中で出会ったのが、情報通信部門の仕事です。専門外の領域ではありましたが、通信技術が災害時のインフラとして人々の安全を支えていることを知り、この技術で社会に貢献したいと強く思うようになりました。
この発見は大きく、最終的に情報通信部門への配属を希望しました。入社前から思い描いていた「地震解析がしたい」とは異なる道ですが、「防災で人の役に立ちたい」という自分軸はブレませんでした。

配属後、最初に関わったのは、国の研究機関と進める通信ネットワークのシミュレーション技術の研究開発でした。私自身、通信やネットワークの知識はほとんどなく、入社直後は正直分からないことばかりでした。 それでも、先輩の丁寧なサポートや研修制度を活用して、少しずつ知識を蓄えることができました。学生時代のように、個人として研究することとは異なり、チームとして研究開発する楽しさを実感したのもこの頃です。
その後、防災に関連したプロジェクトにも携わりました。東北大学との共同研究として、災害時に通信が使えない環境で、スマートフォン同士がBluetoothでつながり、情報を伝える技術の開発です。
こうした技術は、自治体の防災アプリにも活用され、私自身もとある自治体のアプリ開発を担当しました。印象深いのは、リリース後に防災訓練の現場に立ち会えた時の出来事です。実際にアプリを使って情報を送受信する様子を、間近で目にすることができました。高齢の方が試行錯誤しながらも、「これなら安心だ」と笑顔で話してくれた瞬間には、これまでの学びや仕事が社会で役に立ったのだということを肌で感じました。
入社4年目で、現在の情報通信営業部へ異動となりました。異動に関しては希望を出すことができ、会社都合だけで決まることはありません。私自身、当初は営業というポジションに迷いもありましたが、「やってみたい」という気持ちが勝り、挑戦する道を選びました。
そう思えた理由はいくつかあります。ひとつは、当社の営業は、お客様の課題と当社の技術をどう組み合わせれば新しい価値を生み出せるのかを一緒に考えるコンサルティングに近いスタイルで、やりがいを感じたからです。
もうひとつは、防災の通信技術をもっと発展させたいという想いです。入社3年目で防災アプリ開発に携わった際、同様の開発を行っていたアメリカの企業の担当者とコンタクトを取る機会がありました。その時に「一緒にビジネスをつくっていきたいですね」と話が盛り上がったのです。自分たちの技術をより広く社会に役立てていくためには、開発だけでなく、顧客の声を聞ける最前線を経験することが必要だと強く感じました。

営業としてお客様と直接向き合うようになってから、技術職の時には気づきにくかった課題が見えるようになりました。
現在、かつて技術者として防災アプリ開発に携わった自治体と、営業の立場から継続的に関わっているのですが、災害のとき“だけ”使うアプリでは、なかなか日常生活に根付きにくく、普及しづらいという壁があります。例えば、地域の情報や生活に役立つ機能を追加し、自然と使い慣れてもらうような工夫をすることで普及率が高まり、いざというときにも迷わず使えるツールになるのです。
単に開発して終わるのではなく、お客様と一緒に使い勝手を検証し、新たな課題があれば次の改善提案へつなげていく。長期的な関係を築きながら、技術を育て、社会に役立てていくプロセスこそ営業の大切な役割です。エンジニアとして開発した技術を「お客様と同じ視点」で見直す経験は、 自分にとって新たな視点と学びをもたらしています。
現在、営業として3年目を迎えていますが、将来的には再び技術部門に戻りたいと考えています。その背景には、営業を通じて得た学びを持ち帰り、より社会に役立つ技術につなげたいという思いがあります。
営業という立場では、「お客様が何に困っているのか」「どんな解決策を求めているのか」を直接聞ける場面が多くあります。研究や開発の現場だけでは得られなかった視点であり、抽象的な課題を具体化し、ゴールまでの道のりを共創する力が磨かれたと感じています。
こうした経験は、再び開発に戻ったときに必ず活きるはずです。「使われる技術」「役に立つ技術」をつくるエンジニアとして、より実践的な価値を提供していきたいです。

構造計画研究所の仕事には、あらかじめ決まった答えはありません。お客様や社内のメンバーとともに課題を整理し、解決策を見出していくことばかりです。
そうした場面で大切なのは、「相手の話を丁寧に聞くこと」、そして「言われたことをそのまま受け止めるのではなく、なぜそうなのかを考えること」です。これは、社会に出てどんな仕事をする上でも役立つ力だと思います。
就職活動を控えて「自分には何が向いているのだろう」と不安になる人もいるかもしれません。ただ、迷ったり遠回りしたりした経験は、後から必ず自分の糧になります。まずは今、自分の研究にしっかり向き合ってほしいです。
社会に出たとき、これまでの学びが誰かの役に立つと実感できる瞬間が、きっと訪れるはずです。その日のために、ぜひ“考える力”を育ててほしいと思います。

大学・大学院時代の指導教員: 小菅正裕、前田拓人(2025年12月時点(現在、弘前大学在籍))
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