三菱総合研究所 先進技術センター長の関根秀真です。2026年1月4日、ラスベガスで世界最大級のテックイベント「CES」が開幕しました。私とビジネスコンサルティング本部の森は、Industry Analystとして参加しています。
5日は企業によるメディア向けのキーノートセッションが行われました。朝8時から夜9時近くまで複数の会場で行われ、参加者はタイムスケジュールと(結構離れている)会場の間を移動する時間を計算しながら予定を組むことになります。かくいう私もUberとCESが用意したバスを駆使し、一日で4つの会場を渡り歩きました。最後、ホテルに戻るときに乗ったUberのドライバーからは「クレイジーな祭りに来たのか?」と言われ、「明日からはUberが簡単に捕まると思うなよ」と笑いながら脅されました。昨年のCESは参加者が14万人以上、心しておかないと…。

CESを主催するCTA(Consumer Technology Association)は2026年のメガトレンドとして、Intelligent Transformation、Longevity、Engineering Tomorrowを示しました。Intelligent Transformationはその名の通り、AIを基盤とした知能の変革です。Longevityはテクノロジーによる健康・QOLの再定義、Engineering Tomorrowは地球規模の課題解決をする社会基盤の再構築。未来に向けたテクノロジーの役割と機能、とても理解しやすいキーワードです。
過去のCESと比較し、2026年はどのような特徴があるのでしょうか。CESに長年参加している当社客員研究員の二又俊文に聞くと、「Reborn」というキーワードが返ってきました。「過去に失敗、あるいは断念した製品やサービスが新たな形で復活している」とのこと。たしかにキーノートセッションでも派手なテクノロジーの発表は少なく、製品やサービスをユーザーが求める形でどう提供するかに腐心している印象でした。大々的に発表されても定着しなかったIoT家電、個人向けデバイス、AIツールなどが数ある中で、諦めなかった企業がここで花を開き始めた。そんなところでしょうか。
先端テクノロジーは「見せるフェーズ」から、どう日常を変革していくかを「考えるフェーズ」へと変化が着実に起きています。
CES2025では、NVIDIA創業者 ジェンスン・ファンCEOが「フィジカルAI」時代の到来を宣言。世界基盤モデルとヒューマノイドロボットが世界的に注目を浴びた一年でした。2026年、ファンCEOは「AIの次の段階はフィジカルAIだ」とあらためて示しました。しかし、講演の中身は変化しています。
2025年はフィジカルAI≒ヒューマノイドと印象づける講演でした。2026年は自律走行車向けのAIプラットフォーム「Alpamayo」を発表、フィジカルAIのフィールドを自動車に拡大していくと話します。ロボットについては新たなAIモデル・ファミリーを発表。さまざまな種類のロボットや建機(Caterpillarと協業)など、フィジカルAIのプラットフォーマーとしてのポジションを、社会実装を進めながら着実に固めていく戦略と見てとれます。


対する、AMDはどうでしょうか。リサ・スーCEOは講演で、ゲーム・ヘルスケア・科学・教育などの多様なAI分野で他企業との協業を発表しました。フィジカルAIについてはイタリアのロボット企業 Generative Bionicsと協業、新たなヒューマノイドロボットGENE01がお披露目されました。
半導体×オープンソースモデルを活用した企業エコシステムを形成していくNVIDIA、半導体に特化して1対1の協業を進めるAMD。両社の戦略の違いは興味深いところです。

フィジカルAIは、CES2026でも多くの企業がキーワードとしています。そうした中、半導体でライバル関係にあるNVIDIAとAMD、二人のCEOは講演の熱量がすごい。いずれも大会場で超満員となったキーノートでは、ファンCEOは1時間半の講演を一人でこなし、スーCEOは対談相手を次々と変えながらアドリブも交えつつ2時間にわたる講演を行いました。
CESにいると、このような「伝え方」の重要性を再認識します。明日はいよいよクレイジー?なCES2026の一般公開。引き続き、ラスベガスからの報告を楽しみにしていただけると幸いです。

CES - The Most Powerful Tech Event in the World
文:先進技術センター長 関根秀真
編集:広報部