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【コース5-1】就活マップでつかむ ― 理系特有の就活全体像を徹底解説|ステップ学習『就活攻略マップ』

理系就活の全体像を4フェーズで整理。早期選考・推薦・研究両立の要点を押さえ、迷わない就活ルートを描く。

2026/01/14
【コース5の記事一覧は▶をクリック】
コース5就活で迷子にならないためにの攻略マップ
5-1就活マップでつかむ ― 理系特有の就活全体像を徹底解説
5-2「推薦か自由応募か?」選択によるメリット・デメリット
5-3実験計画法を使った就職活動
5-4理系面接の突破法 ― 噛み砕き力と"なぜなぜ耐性"が鍵
5-5就活チェックシート ― 理系就活が停滞したときの処方箋

気づいたら周りはもう選考に進んでいた――理系就活あるあるの正体

「え、もう内定出てるの?」

研究室で何気なく交わされた会話に、背筋が凍る。自分はまだエントリーシートすら書いていないのに、隣の先輩は3月に内定を決めている。しかもその企業、自分も志望していたところだ。

これが理系就活の恐ろしさだ。

文系学生の就活が「3月に情報解禁、6月に選考解禁」という政府主導のスケジュールに沿って進むのに対し、理系就活は企業ごとにバラバラ。外資系コンサルは大学3年の夏に内定を出し、メーカーは推薦制度で秋から動き、ベンチャーは通年採用。同じ理系学生でも、進む業界によってスタートラインがまるで違う。

全体像を知らないまま走り出すと、気づいたときには選考が終わっている。部分的な対策だけに追われると、「なぜ自分は落ちたのか」すら分析できなくなる。

研究に追われる日々の中で、就活の全体マップを持たずに走るのは、地図を持たずに砂漠を歩くようなものだ。

 

就活1年の流れをマップ化する――時期別「理系学生が動くべきこと」

理系就活は、大きく分けて4つのフェーズがある。文系と同じ動きをしていると、確実に乗り遅れる。

【フェーズ1】大学3年 / 修士1年 4月〜8月:サマーインターン&早期接触期

この時期、文系学生の多くはまだ「就活って何?」という状態だが、理系学生は既に動き始めている

キャリタス就活の調査によると、理系学生が企業を探し始める時期は「大学3年生/修士1年生の4月」が最多。文系学生が6月にスタートするのに対し、理系は2ヶ月早い

特に注意すべきは外資系企業とコンサルティングファームだ。彼らのサマーインターンは、単なる「職場体験」ではない。選考直結型であり、8〜9月のインターンに参加した学生が、そのまま10月に内定を獲得するケースも珍しくない。

「2年生から動く」という噂は、決して大げさではない。外資系戦略コンサルや投資銀行、一部の大手メガベンチャーでは、大学2年生の終わり(3年生になる直前)から情報収集を始め、3年の5月にはエントリーが始まる。

このフェーズでやるべきこと

  • 外資系・コンサル志望なら、サマーインターンのエントリー(5〜6月)
  • 自己分析と業界研究の開始
  • 研究室の先輩から情報収集(推薦枠の有無、企業の実態)

 

【フェーズ2】大学3年 / 修士1年 9月〜12月:秋冬インターン&推薦準備期

夏が終わると、今度は秋冬インターンと早期選考ラッシュが始まる。

外資系企業の多くは、10月から本格的な早期選考をスタートさせる。一方で、日系大手メーカーは推薦制度の調整が水面下で進む時期でもある。教授推薦や学科推薦を使う場合、この時期に研究室内で「誰がどの企業の推薦枠を使うか」の調整が行われることが多い。

ここで重要なのは、推薦を使うか、自由応募で行くかを決断すること。推薦は内定率が高い一方で、内定辞退がほぼ不可能という縛りがある。自由度を取るか、確実性を取るか。この選択が、その後の就活の動き方を決定づける。

このフェーズでやるべきこと

  • 秋冬インターンへのエントリー(9〜11月)
  • 推薦枠の情報収集と教授への相談
  • エントリーシート(ES)の本格的な準備
  • 筆記試験(SPI、玉手箱など)の対策開始

 

【フェーズ3】大学3年 / 修士1年 1月〜大学4年5月:ES提出・選考ラッシュ期

ここが就活の本丸だ。

3月1日に情報が解禁されると、一気にエントリーが集中する。ES提出、筆記試験、一次面接、二次面接…と、怒涛の日々が始まる。

理系学生にとって厳しいのは、この時期が学会発表や卒論・修論の追い込みと重なることだ。研究室によっては、「就活は推薦で早めに決めてくれ」と圧力がかかることもある。逆に、「研究を優先しろ」と言われながら、就活が不安で集中できない学生も多い。

ES通過率は平均で50%前後。人気企業になると10%以下ということもある。つまり、10社にESを出しても、面接に進めるのは5社程度が現実だ。

さらに、理系特有の技術面接が待っている。研究内容をプレゼン形式で発表し、面接官(多くは技術者や研究者)から深掘りされる。学会発表とは目的が違い、「あなたがこの研究を通じて何を学び、どう成長したか」を伝えることが求められる。

このフェーズでやるべきこと

  • ES提出(3月〜)
  • 筆記試験・Webテスト受験
  • 面接対策(一般面接+技術面接)
  • 研究発表用スライドの準備
  • 研究と就活の両立戦略を立てる

 

【フェーズ4】大学4年 / 修士2年 6月〜:内定獲得・最終調整期

6月1日、政府主導のスケジュールに沿った企業の選考が解禁される。この時期には、早期選考組はすでに内定を複数持っていることも多い。

2025年卒のデータでは、3月1日時点で理系学生の内定率は47.8%。文系学生と比べて12.5ポイントも高い。つまり、理系学生の約半数は、選考解禁前に内定を持っているということだ。

ここで焦る必要はない。9月末まで採用を続ける企業は多いし、秋採用や通年採用を実施する企業もある。ただし、10月には内定式があるため、9月末までには内定を確保しておきたいのが本音だろう。

このフェーズでやるべきこと

  • 最終面接・役員面接
  • 内定承諾の判断
  • 複数内定を持った場合の企業比較
  • 内定後のフォローアップ(内定者インターン、懇親会など)

 

理系学生特有の就活の特徴――文系とは違う「3つのリアル」

理系就活は、文系と同じ土俵では語れない。以下の3つが、理系特有の難しさでありチャンスでもある。

1. 研究・学会との両立という地獄

「就活で忙しいので、研究は少し…」

そんなことを教授に言おうものなら、冷たい視線が返ってくる。理系学生にとって、研究は「学業」ではなく「責任」だ。学会発表、論文執筆、実験の進捗…どれも待ったなし。

特に修士課程の学生は、M1の秋から就活が本格化する一方で、M2の春には修論提出が迫る。この綱渡りのような日々を乗り切るには、計画性と優先順位づけが命綱になる。

2. 推薦制度という「諸刃の剣」

理系就活最大の特徴が、学校推薦・教授推薦の存在だ。

推薦を使えば、ESや一次面接が免除されることもあり、内定率は格段に上がる。自由応募と比べて競争率も低く、選考期間も短い。

しかし、内定辞退はほぼ不可能だ。

推薦で内定を得た企業を断ると、その企業と大学・研究室との信頼関係が崩れる。後輩たちの就活にも影響が出るため、教授からは「推薦を使うなら覚悟を決めろ」と釘を刺される。

自由度を取るか、確実性を取るか。この二択が、理系就活の最初の分岐点になる。

3. 技術面接という「もう一つの関門」

文系学生が「志望動機」や「自己PR」で勝負するのに対し、理系学生には技術面接という独自の関門がある。

PowerPointで研究内容をプレゼンし、面接官(技術者・研究者)からの質問に答える。時間は5〜10分程度のことが多いが、ここで見られているのは研究のオリジナリティだけではない。

  • なぜその研究テーマを選んだのか
  • どんな困難があり、どう乗り越えたのか
  • その研究を通じて何を学び、それが企業でどう活きるのか

学会発表とは目的が違う。 学会は「研究の成果」を伝える場だが、技術面接は「あなた自身の成長」を伝える場だ。この違いを理解していないと、「研究内容はすごいのに、何を考えているのか分からない」と評価されてしまう。

 

外資系・コンサルの「早い」動き――2年生から始まる就活のリアル

「周りより早く動かないと間に合わない」

この焦りは、外資系やコンサル志望の学生なら誰もが感じるものだ。

外資系戦略コンサル、投資銀行、一部の大手メガベンチャーは、大学3年 / 修士1年 の夏(7〜8月)にサマーインターンを実施し、9〜12月に早期選考・内定を出す。つまり、大学4年 / 修士2年の春にはもう採用活動を終えている企業も多い。

「なぜそんなに早いのか?」

答えは単純で、優秀な学生を他社より先に確保したいからだ。外資系企業は経団連に属していないため、政府のスケジュールに縛られない。早く動いた学生だけが、そのチャンスを掴める構造になっている。

しかし、ここで注意したいのは、「早い動き」に振り回されすぎないことだ。

外資系やコンサルが全てではない。自分が本当にやりたいことが何なのかを見失ったまま、「周りが動いているから」という理由だけで焦って応募しても、ミスマッチが起きる。

自分に合うタイミングを知ることが、最も大事だ。

 

細かな情報が「勝敗」を分ける――表面的な全体像では勝てない

「就活は情報戦だ」とよく言われるが、これは本当だ。

例えば、ESの通過率が時期によって変わることを知っているだろうか?

企業は、エントリーが集中する時期(3月上旬)には大量のESを短時間で処理しなければならない。そのため、AI選考や機械的なフィルタリングが強化されることがある。一方、エントリー期間の終盤や追加募集の時期には、人手でじっくり読まれることもある。

また、企業ごとの理系学生向け採用ルートも要チェックだ。

大手メーカーの中には、「技術系総合職」と「研究職」で選考ルートが完全に分かれている企業もある。研究職は博士課程優遇だったり、特定の研究分野の学生しか応募できなかったりする。こうした情報は、企業の採用HPには小さく書かれていることが多く、見落としがちだ。

さらに、内定直結型インターンの有無も重要だ。

「インターンは職場体験」と思っていると、実は選考の一部だったということもある。2026年卒から、採用直結インターンシップ(インターン時の学生情報の本選考利用)が正式に認められるようになった。つまり、インターンでの評価が、そのまま本選考に影響するケースが増えているのだ。

表面的な全体像だけでは、勝てない。

具体的な企業情報、選考ルート、タイミング…これらの「細かな情報」を押さえているかどうかが、内定の有無を分ける。

 

自分の就活ルートを描け――全体像を知ることが迷子にならない第一歩

「就活に正解はない」とよく言われる。

それは本当だ。外資系に行く人もいれば、推薦で大手メーカーに決める人もいる。ベンチャーで勝負する人もいれば、大学院に進学して研究を続ける人もいる。

でも、全体像を知らないまま走り出すのは、正解がないのとは違う。それはただの「迷子」だ。

就活1年の流れを俯瞰し、理系特有の特徴を理解し、自分がどのルートを進むのかを描く。それが、焦らず迷子にならない第一歩になる。

外資系の早期選考に乗るのか、推薦で安定を取るのか、自由応募で複数企業を比較するのか。研究と就活をどうバランスさせるのか。技術面接でどう自分をアピールするのか。

全体マップを持っていれば、自分が今どこにいて、次に何をすべきかが見える。

研究に追われる日々の中で、就活は「やらなければならないこと」として重くのしかかる。でも、全体像を知り、自分なりの計画を立てることができれば、それは「自分の未来を選ぶチャンス」に変わる。

地図を持って、自分の就活ルートを描こう。

迷子にならないために。

 

参考文献

※本記事で使用している数値データは、各調査機関の公式発表資料に基づいています。

 

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