【コース9-3】理系のための進め方の技術 ― 日常をキャリアの実験場にせよ|ステップ学習『大学生活サバイバル』
PDCA、時間の使い方、ロジカルな道筋立て、実践力、など「物事をどう進めるか」の技術を学ぼう。
【コース9の記事一覧は▶をクリック】
日常で磨ける「進め方の技術」
「あの先輩、なんでいつも余裕があるんだろう?」
その違いを生むのは“能力”ではなく、“進め方”だ。
文部科学省の調査によると、大学生の週あたり学習時間は1年生5.2時間、2年生7.8時間、3年生10.4時間、4年生19.9時間。しかし同じ時間を過ごしても、成果には大きな差が出る。
その差を決定づけるのが、「物事をどう進めるか」という技術だ。
優秀な学生ほど、自然とPDCAや優先順位づけを使いこなし、時間を“構造的に設計”している。
このスキルは研究だけでなく、社会に出てからも強力な武器になる。
大学生活こそが、進め方を鍛える最高のトレーニングの場なのだ。
PDCAを回せ ― 小さな実験が成長を作る
PDCA(Plan–Do–Check–Action)は、製造業の品質管理から生まれた手法だが、今では教育現場にも導入されている。
八戸工業大学や崇城大学では、学生がPDCAを意識して学習ポートフォリオを作成し、自己管理力を高めている。
大学生活での実践例
- Plan(計画):「水曜までにプログラミング課題を終える」
- Do(実行):月曜2h、火曜3hで集中作業
- Check(検証):「デバッグに時間がかかった」
- Action(改善):「次回はテストケースを先に作成」
この“ミクロPDCA”の習慣が、やがて研究プロジェクトや企業プロジェクトを動かす基盤になる。
時間を支配する ― 3分ルールと優先順位
集中力は有限だ。米国NIHの研究では、午前10〜12時が最も集中力の高い時間帯とされている。
その時間を「何から始めよう」と迷って過ごすのは浪費に等しい。
- 3分ルール:3分で決められることは即断する
- 優先順位づけ:「重要性×緊急性マトリクス」で整理
| 区分 | 行動例 | 対応策 |
|---|---|---|
| 緊急×重要 | レポート締切 | 今すぐ着手 |
| 重要×非緊急 | 資格勉強 | スケジュール化 |
| 緊急×非重要 | 連絡・返信 | 隙間時間に処理 |
| 非緊急×非重要 | SNS・ネット | 削る勇気を持つ |
“決める”ことは脳のエネルギーを使う行為だ。
だからこそ、「決断を後回しにしない」こと自体が最大の効率化になる。
考える力を鍛える ― ロジカルに筋道を立てる
論理的思考は才能ではなく技術だ。
産学連携の教育研究でも、ロジカルシンキングを体系的に学んだ学生は、複雑な課題に対してより高い成果を出すことが実証されている。
理系的ロジック3選
- 帰納法:複数の事例から一般法則を導く
- 演繹法:一般原則を個別事例に適用する
- 弁証法:対立意見を統合し新たな解決策を作る
加えて、「自責思考」を意識すると行動が変わる。
✏️ 他責:「教授の説明が分かりにくい」
💡 自責:「分からない部分を明確化し質問する」
原因を外に求めず、自分でコントロールできる変数に集中する。これが、理系的問題解決の真髄だ。
実践力を育てる ― 時間と仮説で動く
佐賀大学の研究では、時間管理能力が学習習慣形成に強く影響することが示されている。
つまり、学力よりも「時間設計力」が成功を分ける。
理系的タイムマネジメント例
- 朝:論理思考系タスク(数値解析・プログラミング)
- 昼:実践系タスク(実験・打合せ)
- 夜:記憶・復習(文献・暗記)
さらに、「仮説→検証→改善」を日常で回す。
例:サークルの参加者が減った
→ 仮説1:時期が悪い/仮説2:告知不足/仮説3:内容が不明確
→ 各仮説を小さく試す → 結果を検証 → 次の施策へ。
失敗はデータだ。
失敗を恐れず、素早く修正できる人が最速で成長する。
学び方を学ぶ ― 優秀な人を“観察して盗む”
学習の転移理論によると、優秀な人の行動を観察・模倣することが最も効率的な学習法だ。
観察のポイント:
- どんな順序で動いているか
- 判断の基準は何か
- どこで迷い、どこで即断しているか
加えて、「お金を払って学ぶ」姿勢を持とう。
無料情報では得られない“覚悟”が、有料学習にはある。
月1冊でも構わない。
自分の財布から出した1,500円が、“知識の血肉化”を促す。
結び ― 仮説を回す習慣が未来を変える
東京大学とJINSの共同研究では、朝学習を継続した学生の集中力・記憶力が有意に向上したことが示されている。
これは「小さな改善を続けること」の科学的証拠だ。
今日から始められる「進め方スキル」:
- 3分で計画を立てる
- 終わったら5分で振り返る
- 重要×緊急マトリクスで優先順位を整理
- 「なぜ?」を3回繰り返す
- 朝の2時間を最重要タスクに
- 月1冊は自腹で本を買う
大学生活は“進め方の実験場”だ。
理系の技術力に「行動設計力」が加われば、君たちのキャリアは爆発的に伸びる。
仮説を立て、回し、改善し続ける者だけが、未来を設計できる。
📊 参考文献
- 文部科学省「大学生の学習実態に関する調査研究」 https://www.nier.go.jp/05_kenkyu_seika/pdf06/gakusei_chousa_gaiyou.pdf
- 八戸工業大学・崇城大学『学修ポートフォリオによるPDCA教育』
- 佐賀大学教育学部研究論文集「時間管理と学習習慣形成」
- NIH「集中力の時間帯に関する研究」
- 日本工学教育協会「ロジカルシンキング教育の導入」
- 東京大学×JINS HD共同研究「朝学習と集中力の相関分析」
