【コース12-3】理系の強みを活かしてチームで成果を出す ― リーダーとフォロワーを切り替える技術|ステップ学習『理系とコミュ力』
理系の論理力と協働経験を活かし、状況に応じてリーダーとフォロワーを切り替え、チームで成果を最大化する方法を解説。
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導入 ― 仕事は「ひとりで完結」しない
「やば、ひとりで抱え込んじゃった……」
研究室の修士1年(M1)が、実験データ解析で行き詰まり、深夜まで悩んでいた。翌日、先輩に相談すると「なんで早く言わないんだよ。みんなで分担すれば1日で終わるのに」と指摘され、目から鱗。
社会に出ると、この「ひとりで完結しない」現実はさらに顕著になる。2025年新入社員の理想職場文化では、7割超が「互いに協力し合い、チームワークを重視する文化」を挙げている。これは理想論ではない。現代のビジネスは複雑で、個人の力だけでは解けない課題ばかりだからだ。
研究の共同実験、アルバイトでの連携、サークルのイベント運営――振り返れば、君たちの成果はいつも「誰かとの協働」から生まれている。就職後に求められるのは、チームで動ける人材。しかも、状況に応じてリーダーシップとフォロワーシップを使い分けられる人だ。
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チームで成果を出すコミュニケーション
土台は情報共有
これがすべての基盤だ。
- × 実験失敗を報告しない
- × データの保存場所を自分だけが把握
- × 試薬の在庫が切れそうでも黙っている
- ○ 進捗を定期的に共有
- ○ データベースを整理して誰でもアクセス可能に
- ○ 問題を見つけたらすぐ相談・報告
情報を隠さず共有することが、信頼の前提。 研究でもビジネスでも同じだ。
意見の違いは“成果を高めるヒント”
「その方法だと時間がかかりすぎませんか?」と指摘されたとき――
- × 攻撃的反応:「でも、この方法のほうが正確です」
- ○ 建設的反応:「確かに時間はかかりますね。正確性を保ちながら短縮する案はないでしょうか?」
理系の強みは論理的思考。感情に寄らず、より良い解を探索しよう。
小さな気配りが全体効率を左右する
- 研究:装置の清掃・リセット、試薬の発注共有、会議前の資料準備
- ビジネス:会議室の予約・準備、スケジュール調整、進捗のフォロー
修士1年・Eさん(生物工学)
「試薬発注や実験スケジュールをチームで共有し始めたら、全員の効率が上がった。『チームを見ている』と評価されて学会発表の機会も増えた。」
リーダーシップの役割 ― ゴールを示し、力を引き出す
リーダーの仕事は「自分が頑張ること」ではない。メンバーが力を発揮できる環境を整えることだ。
良いリーダーの振る舞い
- 役割分担とスケジュールを明確化
- メンバーの得意分野を把握し、適材適所で配置
- 進捗が遅れるメンバーを支援し、障害を取り除く
やってはいけないこと
- × 「自分がやったほうが早い」と抱え込む
- × 指示だけ出して状況を把握しない
- × 結果だけを求め、プロセスを支援しない
問いかけでメンバーを自律化させる
- 指示型:「この実験、明日までにやっておいて」
問いかけ型:「成功のために、どんな準備が必要だと思いますか?」
「君たちが担当するなら、どんなスケジュールで進めますか?」
修士2年・Fさん(機械工学)
「『どう思う?』と聞き始めたら、みんなが主体的に動き出し、自分では思いつかない良案が出てきた。」
フォロワーシップの役割 ― 組織成果の8割を支える力
フォロワーシップ研究(ロバート・ケリー)の文脈では、組織成果の大半はフォロワーの力に左右されるとされる。優秀なフォロワーなしに、優秀なチームは成立しない。
受動的フォロワー(避けたい例)
- 言われたことだけを実行
- 問題に気づいても報告しない
- 担当外は無関心
能動的フォロワー(価値ある振る舞い)
- リーダーの意図を理解し、先回りして行動
- 問題と併せて具体的な解決策を提案
- チーム全体の成果を意識し、必要に応じて部分的リーダーシップを発揮
状況対応型フォロワーシップの例
全体リーダーは修士2年のA先輩。データ解析は君たちが一番得意。
- 解析パートでは君たちがリード
- ただし全体方針はA先輩に整合
- 結果はわかりやすくチームへ共有
学部4年・Gさん(情報工学)
「プログラミングは自分が主導し、全体は先輩に合わせる。強みの掛け算で回り始めた。」
理系学生の強みを活かす ― 論理で進め、協働で仕上げる
理系は協働経験が豊富だ
- 共同実験:設計・実行・解析・資料作成の分担
- 共同執筆:章割りと相互レビューで品質向上
- 学会準備:発表・資料・Q&Aの連携で成果最大化
強みの活かし方
- 複雑な論点を要素分解して整理
- 感情的対立を“課題”にリフレーム
- データ・根拠に基づく意思決定を支援
化学系修士卒・Hさん(化学メーカー入社3年目)
「『技術・コスト・スケジュール』の3軸で論点整理したら、議論が一気に進んだ。」
結び ― 協働とリーダーシップの“往復運動”
役割は固定ではない
- 全体統括:修士2年のA先輩(リーダー)
- 実験技術:学部4年のB君(技術リーダー)
- データ解析:修士1年のC君(解析リーダー)
- 資料作成:学部4年のD君(資料リーダー)
それぞれが得意分野でリーダーシップを発揮し、他の領域では優秀なフォロワーになる。
コミュニケーションは双方向へ
- 従来:リーダー → フォロワー(指示・命令)
- これから:リーダー ⇄ フォロワー(対話・協議・相互支援)
研究で培った「仮説を立て、みんなで検証し、結論を導く」プロセスは、この双方向型の土台そのものだ。
協働力は、一生もののキャリア武器
- 新人期: 優秀なフォロワーとして信頼を獲得
- 中堅期: プロジェクトリーダーとして牽引
- 管理期: 部下のフォロワーシップを引き出す
研究室は、協働力を磨く最高の道場だ。
自分の研究 → チームの成果、個人の成長 → チームのレベルアップへ視点を更新しよう。
理系の論理的思考と協働経験の組み合わせは、企業が強く求める人材の条件だ。
『任される人』から『動かせる人』へ。君たちの協働力が、次のステージでの武器になる。
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参考文献
- PR TIMES:新入社員の理想職場文化調査(2025年度) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000228.000005749.html
- Kakeai:「フォロワーシップ」とロバート・ケリー研究の概説 https://kakeai.co.jp/media/article/0008
- パーソルグループ:フォロワーシップの解説 https://www.persol-group.co.jp/service/business/article/18401/
