【コース11-1】初任給より“10年後の自分”。学歴に振り回されないキャリア設計|ステップ学習『お金のリアル』
学部卒と院卒の違いをデータで検証。初任給差や進学コストを踏まえ、キャリア設計で真に重要なポイントを解説。
【コース11の記事一覧は▶をクリック】
導入 ― “院卒は本当に得?”という問い
「大学院に進学すれば初任給も高く、将来も安泰」――そんな神話を信じていないだろうか?
確かに、院卒の方が月給が数万円高いというデータはある。
でも、3〜4万円のために2年間という貴重な時間と数百万円の投資をする価値があるのか――ここには“冷静な計算”が必要だ。
理系学生の多くが直面するこの選択。
学部卒で働くか、院に進むか。
この決断は、想像以上にその後のキャリアを左右する。
最新データで見る初任給の現実
厚生労働省・令和6年賃金構造基本統計調査によると、
2024年度の学歴別平均初任給は以下の通りだ。
- 大学院修士課程修了:28万7,400円
- 大学卒:24万8,300円
- 高専・短大卒:22万3,900円
差は約3万9,000円。確かに数字では「院卒優位」。
しかし、実際の差を決めるのは“企業規模”だ。
- 大企業(1,000人以上):約26万円
- 中企業(300〜999人):約24万円
- 小企業(100〜299人):約22万円
つまり、“院卒で中小企業”よりも“学部卒で大企業”の方が初任給が高い――そんなケースも少なくない。
さらに地域格差も無視できない。
マイナビ2025年卒データでは、関東と東北で2万円以上の差が出ている。
「どこで働くか」もまた、年収に大きな影響を与えるのだ。
“見えないコスト”の落とし穴
大学院進学のコストは学費だけではない。
国立大学院2年間で約135万円、私立理系では約245万円が必要。
しかし、本当のコストは「機会損失」だ。
学部卒で働いていれば、2年間で約650〜700万円稼げた可能性がある。
結果として、
- 国立院:約835万円
- 私立院:約945万円
――これが“実質コスト”。
この差額を月3〜4万円で取り戻すには、いったい何年かかるだろうか?
生涯年収シミュレーション ― 学歴 × キャリアで変わる“本当の差”
内閣府データでは、生涯年収は確かに院卒が上回る。
- 男性:学部卒 2億9,163万円 / 院卒 3億4,009万円
- 女性:学部卒 2億4,397万円 / 院卒 2億8,731万円
しかし、重要なのは職種と業界の選択。
- 研究開発職:専門性が高く、院卒メリット大
- 営業・企画職:学歴より実績。学部卒が早く経験を積めて有利なケースも
- 外資系IT・コンサル:成果主義。学歴プレミアムは限定的
“どこで”“どう働くか”が、学歴以上の分岐点になる。
「初任給1,000万円」の正体
SNSで話題になる“初任給1,000万円”の企業。
実際に存在するが、それは例外中の例外だ。
外資系ITやコンサルでは、採用枠は全体の1%以下。
成果主義・長時間労働・即リストラ。
「お金は増えても、時間は減っていった」と語る元社員も少なくない。
華やかに見える数字の裏には、覚悟とリスクがあるのだ。
“学歴ではない”道を選ぶという現実
学歴より実力が評価される分野も確実に増えている。
- IT/AI開発:スキルがあれば学歴不問
- クリエイティブ:ポートフォリオが命
- 起業・独立:成果がすべて
- 資格職:努力で逆転可能
大学院で2年を費やす代わりに、プログラミングやAIスキルを磨き、
現場経験を積んで年収を伸ばす人も増えている。
結局のところ、業界の選び方が学歴以上に人生を左右する。
結び ― 初任給はスタート地点。キャリア設計が未来を決める
初任給の数字に惑わされすぎてはいけない。
重要なのは、10年後にどうありたいかだ。
成功する人に共通するのは、
- 自分の価値観を明確にしている
- 長期的な視点でキャリアを描いている
- 学び続ける習慣を持っている
「学歴はあくまで手段。キャリアの目的は、君たち自身の“生き方”にある。」
それを忘れずに、自分らしい道を選ぼう。
参考文献
- 厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2024/dl/14.pdf
- マイナビ「大卒・院卒の平均初任給の推移(2025〜2026年)」 https://career-research.mynavi.jp/column/20250609_97172/
- 内閣府経済社会総合研究所「大学院卒の賃金プレミアム」 https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11513838/www.esri.go.jp/jp/archive/e_dis/e_dis310/e_dis310.pdf
- 文部科学省「令和5年度 学生納付金等調査結果」 https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1412031_00005.htm
- 労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計 2024」 https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2024/documents/useful2024.pdf
この記事は2025年9月時点での公的統計データと実体験に基づいて作成されています。個人の状況により結果は異なりますので、キャリア選択の際は多角的な検討をお勧めします。
