【コース3-5】「モチベーションは幻想」— 脳科学が教える行動優先の就活戦略|ステップ学習『就活前のそもそも』
やる気は行動の結果にすぎない。脳科学と実験計画法で迷いを突破し、行動先行で就活を進める理系の戦略。
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記事の概要
就活初期の「何をしたいかわからない」という悩みは、君たちが思うよりも深刻で、そして解決可能だ。
本記事では、脳科学の最新知見に基づく「身心の順」アプローチと、理系らしい実験計画法的思考を活用して、就活の迷いを突破する方法を解説する。
行動が先、気持ちは後──この科学的知見を武器に、自分らしい就活戦略を構築していこう。
まず現実を見よう:君たちは決して「特別」じゃない
いきなり辛口な話をしよう。
「何をしたいかわからない」という悩みは、実はほとんどの学生が抱えている“普通”の状態だ。
📊 データで見る就活初期の現実
- 大学1・2年生の59.5%がキャリアの方向性を決めていない(マイナビ調査2024年)
- ┗ 理由:「これだというものに出会えていない」47.5%、「やり方がわからない」32.2%
- 大学生全体の72.0%が就職に不安を感じ、そのうち42.4%が「自分が何に向いているか」で悩んでいる(全国大学生協連調査2024年)
つまり、君たちの半数以上が同じ悩みを抱えている。
これは個人の問題ではなく、社会全体の構造的課題だ。
だからこそ、感情論ではなく、理系らしく科学的にアプローチすべきなのだ。
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脳科学が暴く「モチベーション神話」の嘘

今から「赤い風船を思い浮かべないでください」と言われたらどうなる?
おそらく、頭に赤い風船が浮かんだはずだ。
この現象が示すのは、「意識は思ったほどコントロールできない」という事実だ。
「やる気を出そう」と思っても、それは「赤い風船を思い浮かべるな」と言うのと同じ。
意識のコントロールの限界と、「行動先行の原則」を紹介する実験例[※4]として有名。
脳科学の研究によれば、「やる気」や「モチベーション」は感情の産物であり、感情は行動の結果として生まれる。
能動的に体験したとき、受動的に得たときより脳の活性が大幅に高まることが知られている[※1]。
つまり、科学的に正しい順序は「行動 → 感情 → 継続」だ[※2]。
「身心の順」が示す真実
昔から「心身」と言うが、実際には「身心」の順序が正しい。
体を動かすと、脳内の淡蒼球や側坐核が刺激され、ドーパミンが分泌される。
これが「やる気」として感じられる仕組みであり、「作業興奮」と呼ばれる。
最低でも10分間、手足や口を動かし続けると、脳が興奮状態になり自然と意欲が高まりやすい。
結論:モチベーションは“考えて”生まれるものではない。動いて、後からついてくる。
実験計画法で就活の迷いを攻略する
君たちは研究で仮説を立て、実験し、結果を検証することに慣れている。
就活も同じだ。
直交計画法の考え方を応用すれば、効率的に自分の適性を見極められる。
(交互作用は最初は追わず、主効果を絞り込む前提で。)

Step 1:要因(ファクター)の特定
まず、就活結果に影響を与える主要な要因を整理しよう。
- 業界要因:IT、製造、化学、金融、コンサルなど
- 職種要因:研究開発、技術営業、企画、品質管理など
- 企業規模要因:大手・中堅・ベンチャー
- 働き方要因:転勤有無、チーム/個人、国内/海外
「何をしたいかわからない」とは、これらの最適な組み合わせがまだ見えていない状態だ。
Step 2:直交計画による効率的な設計
全組み合わせを試すのは非効率(4要因×3水準=81通り)。
ここで直交表(例:L9表)の出番だ。
たった9通りの体験で各要因の効果を効率的に把握できる[※3]。
就活直交計画の例(L9直交表の応用)
- 大手IT企業の研究開発インターン(転勤あり・チーム作業)
- 大手製造業の品質管理説明会(転勤なし・個人作業)
- 大手化学メーカーの技術営業OB訪問(海外・チーム作業)
- 中堅IT企業の企画職説明会(転勤なし・チーム作業)
- 中堅製造業の研究開発インターン(海外・個人作業)
- 中堅化学メーカーの品質管理OB訪問(転勤あり・チーム作業)
- ベンチャーIT企業の技術営業説明会(海外・チーム作業)
- ベンチャー製造業の企画職OB訪問(転勤あり・個人作業)
- ベンチャー化学メーカーの研究開発説明会(転勤なし・個人作業)
この9通りの体験により、「どの要因が自分の満足度に影響するか」を分析できる。
Step 3:二段階アプローチで深掘る
直交計画が難しければ、次の2段階アプローチでもOK[※3]。
第一段階: 条件を幅広く分散させる
さまざまな業界・職種・企業規模で話を聞き(直交計画の考え方を応用)、“当たり”の領域を見つける。
第二段階: 興味を持った部分に絞り込む
満足度の高かった組み合わせの周辺を深堀りし、より具体的な情報収集と体験を積む。
例:「IT×研究開発」で最も充実していたなら、AI・データサイエンスなど関連領域を掘り下げる。
Step 4:簡単な振り返りでデータ化
難しい統計処理は不要。以下の5項目を10点評価で記録するだけで十分。
体験後の簡単な振り返り
- 満足度:10点満点で評価
- 時間の感覚(没頭度):時間を忘れて話を聞けたか?
- エネルギーレベル:終了後、疲労と充実感のどちらが強かったか?
- 興味の深さ:もっと詳しく知りたいと思ったか?
印象に残った要因:業界、職種、人、環境、雰囲気など
今すぐできる「10分行動」戦略

脳科学の知見を活用した具体的な行動戦略を提示しよう。
覚えておこう。作業興奮は10分の継続行動で発生する。
⏱ 「とりあえず10分」ルール
- 就活関連の行動を10分だけやってみる(企業HPを見る・履歴書を1行書く・求人を眺めるなど)
- 10分経てば脳が自然と動き続けたくなる。
(ドイツの精神医学者クレペリンが発見した「作業興奮」という脳科学的に実証されたメカニズムだ[※2]。)
身体を使った就活準備法
- 歩きながら業界研究:音声配信を聞きながら散歩(血流UP)
- 手書きメモで企業リスト:紙とペンで書く(手の運動により脳活性)
- 声に出して自己PR練習:発声が感情に影響
- 立って面接練習:姿勢が自信を高める
面白さは「見つける」ものではなく「作る」もの
就活において重要なのは「完璧な答え」を探すことではない。
仮説を立て、行動して、検証する──それが理系的アプローチだ。
データドリブンに“自分の最適解”を作っていこう。
まとめ:理系らしく、科学的に動こう
- モチベーションを待たず、まず行動する
- 直交計画で効率的に「当たり」を探す
- 10分ルールで作業興奮を活性化
- 自分の満足度を要因ごとに分析
- 面白さは“つくるもの”と理解する
君たちはすでに、研究でこの力を使っている。
あとはそれを就活という実験場に応用するだけだ。
さあ、今すぐ10分だけ行動してみよう。
未来のキャリアは、「手を動かす」その瞬間から始まる。

次のコースはこちら→【コース4-1】 「天職」は作るものだ。人生のハンドルを自分で握れ
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参考文献
- 株式会社マイナビ「大学生低学年のキャリア意識調査(2026・2027年卒対象)」2024年1月15日発表
調査期間:2023年12月15日~12月21日、調査対象:18歳~20歳の大学1・2年生1,022名 https://career-research.mynavi.jp/reserch/20240115_68030/ - 全国大学生活協同組合連合会「第60回学生生活実態調査 概要報告」2024年10~11月実施、2025年2月28日発表
調査対象:全国30大学生協、11,590名 https://www.univcoop.or.jp/press/life/report.html - cocorokobe.net「『脳科学』から見た『やる気』の出し方」2023年7月29日 https://cocorokobe.net/brain-yaruki/
- ※1:株式会社イマジナ「脳科学から知る、モチベーションの発生源とは?」2025年4月18日
「何らかの経験を能動的に得た場合のほうが、受動的に得た場合よりも強く活性化する」(元記事では東京大学の神経生理学研究として紹介されているが、具体的な論文名・研究者名は未確認) https://www.imajina.com/brand/entry/5849 - ※2:クレペリン,E.(ドイツの精神医学者)による「作業興奮」理論:継続的作業により脳の興奮状態が生じ、パフォーマンスが向上するという脳科学的メカニズム。ドイツの精神医学者エミール・クレペリン(1856-1926)が発見した現象として広く知られている。
- ※4:神田昌典「非常識な成功法則」フォレスト出版、2002年
意識のコントロールの限界について「赤い風船」の例を用いて解説。成功のための非常識なアプローチを提示した実践的な自己啓発書。 - ※3:実験計画法に関する参考文献:
- R.A.フィッシャー「統計的方法と科学的推論」(1935)- 実験計画法の基礎理論
- 田口玄一「実験計画法」- 直交表を用いた効率的実験設計
- 日本科学技術連盟「直交表とは(実験計画法)」 https://www.i-juse.co.jp/statistics/product/func/doe/orthogonal-layout.html
- 感性指標化のための高効率実験計画法の研究, 日本機械学会論文集, 2017 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsmedsd/2017.27/0/2017.27_1301/_pdf
