「得意×やりたい×現実」の交差点を分析。理系の武器でまず稼ぎ、戦略的に理想のキャリアへ近づく方法を解説。
理系の君たちが就活やキャリアを考えるとき、つい「やりたいこと」に目を向けがちではないだろうか。
しかし現実はそう甘くない。「好きなことを仕事にして苦労した人」の話は、この社会にあふれている。
この記事では、「得意なこと」と「やりたいこと」の交差点を、理系らしく現実的に見つける方法を紹介する。
さらに、この2つと「現実(社会的価値)」との関係を、データと事例をもとに分析していく。
学校では絶対に教えてくれない、キャリア選択のリアルな考え方を一緒に見ていこう。
まずは冷静な現実認識から始めよう。
ゲーム開発がやりたくてゲーム会社に入ったが、実際にはバグ修正中心の長時間労働に追われ、結局は大手ITへ転職した――そんな話を耳にしたことはないだろうか。
あるいは、大学でアカデミアの道を志し、ポスドク(PD)として研究を続けたが、ポストがなく生活が安定せず、民間企業へ転職する際に年齢で苦労した人。
または、音楽を仕事にしようと挑戦したものの、30歳を過ぎて収入が安定せず、結局一般企業に転職した人。
もちろん、全員が失敗するわけではない。だが、こうした事例が多いのも事実だ。
「やりたいこと」で本当に食べていけるか――それを、冷静に見極める必要がある。
「夢を諦めろ」という話ではない。
ただし、現実を知ったうえで戦略的に夢へ近づく方法を考えるべきだ。
「長所と短所を挙げましょう」という就活対策本は山ほどある。
だが本当に重要なのは、“武器”=お金を稼げる能力を理解することだ。
君たちは日常の中で、無意識に自分の武器を使っている。

文部科学省の調査によると、理工系を選んだ理由として「理工系科目が得意だった」と答えた学生は、男性38.3%・女性32.1%。(複数回答割合)
一方、「資格・専門性・収入・就職有利性などの実利性」を重視した学生は、男性33.6%・女性48.8%だった。(複数回答割合)
つまり、男性は「得意分野」を軸に、女性は「実利性」を軸に進路を選ぶ傾向がある。
これは、自分の得意分野をどう社会的価値につなげるかがキャリア成功の鍵であることを示している。
短所とは、裏返せば尖った特性だ。
視点を変えれば、必ず強みに転換できる。
ここからが本題だ。
君たちに伝えたいのは――「得意で稼ぎ、やりたいで生きる」戦略だ。
得意なことは、他人より効率的に成果を出せる。
だからこそ、評価と報酬を得やすく、持続的に続けられる。
一方、「やりたいこと」だけに賭けると、競争が激しく、安定までに時間がかかる。
たとえば、機械設計が得意な学生なら、まず自動車メーカーや製造業で経験を積む。
仕事を通じてスキルと資金を得たうえで、週末や余暇に“やりたいこと”を育てる。
音楽活動、研究、起業の準備――いずれも得意で稼いだ時間が、その土台になる。
仕事・人生の成功 = 考え方 × 熱意 × 能力
稲盛和夫氏は、この3要素の掛け算が人生の成果を決めると説いた。
熱意だけでも、能力だけでも成果は出ない。
現実的な能力を軸に、考え方と熱意をどう掛け合わせるかが重要だ。
「なんとかなる」「やってみよう」「自分らしく」「感謝する」――
この4つの因子を意識しながら、理系らしく“作戦とバランス”を持って挑戦することが、長期的な幸福につながる。
ここで、得意・やりたい・稼げるの交差点を見つける具体的な方法を紹介しよう。
紙に3つの円を描いてみてほしい。
3つの円が重なる部分――それが、君たちにとっての最適解だ。
ただし、現実には3つすべてが完全に重なるケースはほとんどない。
だからこそ、①「得意×稼げる」でまず基盤を作り、②そこから「やりたい」領域へ徐々に近づいていく戦略が有効だ。

理系の君たちには、文系にはない強力な武器がある。
論理的思考力、問題解決能力、データ分析力、そして「ものづくり」への理解力だ。
これらの力は、今まさに価値が高まっている。
AI、IoT、データサイエンス、バイオテクノロジー——多くの産業分野で理系の知識が求められている。
ただし、「理系だから研究職一択」という発想は危険だ。
コンサルティング、金融、商社、IT、ベンチャーなど、理系の思考法が活きる場所は多様に存在する。
自分の武器を狭い枠に閉じ込めず、広い視野で活かそう。
結論を言おう。
完璧な「得意×やりたい×稼げる」の交差点を、最初から見つけられる人はほとんどいない。
だからこそ、戦略的にアプローチする必要がある。
Step 1. 「得意×稼げる」で基盤を築け
→ 安定した収入と社会経験を得て、キャリアの土台を作る。
Step 2. どんな職種でも自分の武器を使え
→ 配属先が希望職種でなくても、必ず自分の特性を活かす方法がある。
Step 3. 経験を積んで「やりたい」領域へ進め
→ 全体像を掴んだ後に、本当にやりたい分野へ挑戦しよう。
竹林先生の理論が教えてくれるのは、「人にはそれぞれ得意なフェーズがあり、そのすべてが価値を持つ」ということだ。
理系の君たちは恵まれている。
論理的思考、問題解決力、技術理解――これらはあらゆる分野で通用する。
その武器を磨きながら、一歩ずつ理想の交差点へ近づいていけばいい。
20代で基盤を築き、30代で幅を広げ、40代で「やりたいこと」を仕事にする。
そんな長期戦略を描くのも立派な選択だ。
君たちの人生は、君たち自身が決めるものだ。
データを見て、現実を知り、自分の頭で考え、そして行動していこう。
※本記事で使用した統計データは、上記公的機関の調査結果に基づいています。