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【コース1-0】キャリアを考える前に ― 問いから始めよう|ステップ学習『幸せを考える』

キャリアを考えることは、「君にとっての幸せとは何か?」を問い直すこと。焦らず、比べず、自分のペースで“幸せの仮地図”を描いてみよう。それが、TECH PORTALでの最初の一歩になる。

2026/01/08
【コース1の記事一覧は▶をクリック】
コース1幸せとは?学校では教えてくれない「幸せ」について考える
1-0キャリアを考える前に ― 問いから始めよう
1-1幸せになるためにキャリアを考えるということは正しいのか?
1-2小さな幸せを積み重ねる、それがキャリアになる
1-3欲望という名の燃料
1-4心の進化プログラム
1-5幸せの方程式を解き明かす― 4つの因子がキャリアを加速させる ―
1-6理系という特殊解
1-7幸せになる理屈とキャリア戦略
1-8本音で語る ― 理系学生のための偶発性キャリア戦略
1-9幸福OSを設計せよ — 4因子×キャリアの多目的最適化
1-10「可愛い子には旅をさせよ」の科学的真実
1-11世の中は平等か?努力と成果のギャップの現実
1-12きみの価値観は、本当にきみ自身のものか?
1-13幸せと収入を両立する理系キャリア設計術
1-14働くことと幸せ
1-15「幸せは収入だけじゃ測れない」— データで解く、お金と幸福の最適解
1-16「なんとかなる」で実際になんとかなる作戦
1-17「理系の特権を武器に」― お金を育てる4つの戦略と実践ステップ

キャリアを考えるとき、いきなり「ノウハウ」を追いかけるのは危険。
ペダルの漕ぎ方だけを必死に学び、がむしゃらに漕いでも、目的地が定まっていなければ、どんどんずれた方向に進んでしまうよね。 

安宅和人さんは『イシューからはじめよ』の中で、このような状態を「犬の道」と呼んだんだ。
本当に解くべき問い(イシュー)を見極めず、ただ努力を重ねること自体が意味をなさない道になってしまう――そんな警鐘だ

だからこそ、まず「問いを問う」、つまり“本質をつかむ”ことが大切だ。

 

問いを問うって、どういうこと?

たとえば、次のような問いを自分に向けてみること

  • キャリアって、そもそも何?    
  • キャリアについて考えるって、どういうこと?
  • なぜキャリアについて考えるの?    
  • 何のために考えるの?そんなこと必要なの?

これは、単なる哲学ではなく「自分を知るための第一歩」。
『孫子』には「彼を知り己を知れば百戦危うからず」という有名な言葉があるんだ。
相手(向き合うもの)を理解し、自分を理解してこそ、意味のある行動ができるんだよね。

 

地図の話で考えてみよう

紙の地図を広げる場面を思い浮かべて。
……まあ、最近はGoogleマップだけどね(笑)。
観光地でもらうパンフレットのマップを想像すると分かりやすいかも。

地図を使うとき、まず何をする?

  1. 自分の現在地を探す(私はいまどこにいる?)          
  2. 目的地を決める(どこに行きたいのか?)        
  3. ルートを考える(どうやって辿り着くのか?)          

 

この順序を踏まないと、ペダルを漕いでいてもおかしな方向に行ってしまうよね。

たとえば、「目的地は美味しいラーメン!」とだけ決めて深夜2時に行ったら、シャッターが閉まっているかもしれない。
あるいは「人気店」と聞いて行ってみたら、実は自分の好みと全然違う味だった

――これ、ちょっと笑えるけど、キャリアでも同じことが起きるんだ。

目的地や現在地があいまいなままノウハウ(=ペダルの漕ぎ方)を学んでも、
結局は「自分の幸せ」から外れた場所にたどり着いてしまうリスクがあるんだ。

 

「問いの質」が「人生の質」を決める

哲学者ソクラテスの思想として伝えられる「無知の知」は、
「自分が何を知らないか」を知ることこそ、学びや成長の出発点であるという考え。

また、アインシュタインに由来するとされる言葉に、次のようなものがあるんだ。

「もし世界を救うのに1時間しかないなら、55分を問いを立てることに使う。」

それほどまでに、“問いの質”が“人生の質”を決める。
だからこそ、キャリアについて考えるときに最初に立ち返るべき問いは、とてもシンプルでありながら、人生を大きく左右する問いになる。

 

キャリアについて考える本当の理由

  • なぜキャリアについて考えるの?
  • 何のために考えるの?
  • そんなこと、本当に必要なの?

その答えは、意外とシンプル。
キャリアについて考える本当の目的は、ただひとつ。

👉 「幸せに、自分の人生と時間を送りたいから」

キャリア、職業選択、進路、就職活動――。
言葉はいろいろあるが、結局はすべて、
「限りある人生を、幸せに過ごしたい」という根源的な願いから始まっている。
だからこそ、キャリアを考えるとは、

「自分にとっての幸せとは何か」を考えることそのものなんだ。

 

「何も選ばない」という選択もある?

ここで一つ、大切な問いが生まれる。
――そもそも、何も選ばないという選択肢も、幸せの一つの形なのでは?

実は、これには2つのパターンがある。

① 受動的流され型
「なんとなく」「面倒だから」「周りに合わせて」流されてしまうタイプ。
リスクや代償を理解しないまま、結果的に「選ばない状態」になってしまうパターン。

② 意識的棚上げ型
選択しないことのリスクを理解したうえで、「今はまだ選ばない」と戦略的に保留するパターン。
これは立派な“意識的な選択”。

多くの場合、問題になるのは①のほう。
まずは「幸せになりたい」という素直な気持ちに沿って、自分のキャリアや行動を選んでいくことが、結果的に自分の求めるものへ近づく最初の一歩になる。

 

「自分が何をやりたいか分からない」君たちへ

「自分が何をやりたいか分からない」という学生はとても多く、今の時代ではむしろ自然なこと。
そんなときこそ、思い出してほしいことがある。

👉 キャリアについて考えるとは、「自分にとっての幸せって何だろう?」という本質を考えること。

地図の例で言えば、現在地(自分は何者か)が分からないときほど、
まずは「どこに向かいたいのか」(=自分なりの幸せの方向)」を、ぼんやりとでも描いてみることが大切。

 

キャリア構築の正しい順序

1️⃣ 自分にとっての「幸せ」や「大切にしたいこと」を、曖昧でもいいから描いてみる。
2️⃣ そのうえで、「キャリア」という地図を広げ、どう進むかを考えてみる。

この順番こそが、君たちらしい未来をつくる道筋。

🔸まずはノートの片隅に、「自分が大切にしたいこと」を3つ書き出してみよう。
  それが、君たちの“人生地図”の第一歩になる。

 

まとめ

キャリアを考えることは、「君にとっての幸せとは何か?」を問い直すこと。
焦らず、比べず、自分のペースで“幸せの仮地図”を描いてみよう。
それが、TECH PORTALでの最初の一歩になる。

 

参考文献

  • 宮野公樹『問いの立て方』(ちくま新書) 
    著者:宮野公樹(京都大学学術情報メディアセンター教授、工学博士)
  • 安宅和人『イシューからはじめよ[改訂版]――知的生産の「シンプルな本質」』 
    著者:安宅和人(慶應義塾大学環境情報学部教授、元マッキンゼー・アンド・カンパニー、元ヤフー株式会社CSO)
  • 「幸せから始める」というアプローチは、近年のキャリア研究でも注目されている。学術研究では、「キャリア構築と主観的ウェルビーイング(幸福感)」の関連性が示唆されており、幸せ(ウェルビーイング)を起点としたキャリア構築は、理論的にも妥当とされている。
    (参考論文:  https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1069072707305772

 

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