社会は平等ではない。でもどう幸せを描くかは、君たちが決められる。理工系の強みを生かして、お金より深い「価値ある豊かさ」を追おう。
フランスの経済学者トマ・ピケティが『トマピケティ 21世紀の資本』で示したように、
資本収益率(r)>経済成長率(g) という不等式が成立する限り、格差は拡大し続ける。
つまり、「お金がお金を生む速度」>「労働がお金と価値を生む速度」なのだ。

概算的に比較してみよう。
つまり、「投資をしている人」と「労働だけに頼る人」の格差は、
緩やかに拡大し続けている可能性が高い。
ピケティは、歴史的に見て
という傾向が続いてきたと指摘している。
このわずか2〜3%の差が、複利の力によって時間とともに大きな格差を生む。
資本を持つ者はより豊かになり、労働だけに頼る者は相対的に貧しくなっていく。
それが、資本主義社会の基本構造だ。

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国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、
2023年の日本の平均年収は約460万円。
一方、バブル期の1989年頃も平均給与は450万円台だったとされ、
30年以上経っても名目上ほぼ横ばいというのが実態だ。
では、もし1989年に100万円を株式に投資していたとしたら?
仮に年7%の複利で運用できた場合、36年後の2025年には
約1,070万円(=100万円 × 1.07³⁶)になっている計算だ。
| 期間 | 労働収入 | 株式投資(7%複利) |
|---|---|---|
| 1989年 → 2025年 | 約450万円 → 約460万円(名目+2%未満) | 100万円 → 約1,070万円(約10倍) |
この差は、努力の差ではなく、「仕組み」と「情報」の差だ。
ただし、これは絶望の話ではない。
現実を知り、どう対応するかが重要なのだ。

戦国時代の逸話として伝わる話がある。
今川義元(いまがわ よしもと)は、8歳の徳川家康(当時・松平竹千代)を人質として預かった際、
家臣にこう命じたという。
「家康には“むごい教育”をしろ」
家臣たちは厳しい修行を想像したが、実際は真逆だった。
義元の狙いは、恵まれた環境が人を甘やかすという心理を利用し、
家康を意志の弱い人間に育てることだったと伝わる。

しかし、家康はその環境に流されず、自らを律し、逆境を糧に成長した。
のちに天下統一の基礎を築いたのは周知の通りだ。
この逸話は、
「与えられすぎること」こそが人を鈍らせるという人間の本質を示している。
(※諸説あり。史実としては伝承的要素を含む)
教育心理学でも、似た現象が報告されている。
たとえば、完全に整った静かな環境よりも、
リビングで家族の気配を感じながら学習する子どもの方が集中力を鍛えやすい
という研究がある(例:東京大学大学院教育学研究科 2020年調査など)。
理由は単純だ。
「完璧な環境」に依存すると、自分で集中する力が育たない。
一方で、制約のある環境では工夫と適応力が育つ。

資産家の家庭で育った人や、経済的に豊かな人が必ずしも幸福とは限らない。
投資で成功しても、お金=幸福ではない。
お金は手段であって目的ではない。
大切なのは、
今川義元の逸話は、
「与えられすぎること」の危険性と、
自ら努力して得た経験の価値を教えてくれる。
社会は平等ではない。
しかし――
「どう幸せを描くか」「どう生きるか」は、自分で選べる。
理工系の強みを活かして、
お金よりも深い「価値ある豊かさ」を追求してほしい。
これらは、お金では決して買えない。
真の豊かさであり、幸せそのものなのだ。

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