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【コース1-2】小さな幸せを積み重ねる、それがキャリアになる|ステップ学習『幸せを考える』

幸せは将来の目標ではなく「いまの状態」。幸福学と理系的視点で、日常のご機嫌がキャリアになる理由を解説。

2026/01/05
【コース1の記事一覧は▶をクリック】
コース1幸せとは?学校では教えてくれない「幸せ」について考える
1-0キャリアを考える前に ― 問いから始めよう
1-1幸せになるためにキャリアを考えるということは正しいのか?
1-2小さな幸せを積み重ねる、それがキャリアになる
1-3欲望という名の燃料
1-4心の進化プログラム
1-5幸せの方程式を解き明かす― 4つの因子がキャリアを加速させる ―
1-6理系という特殊解
1-7幸せになる理屈とキャリア戦略
1-8本音で語る ― 理系学生のための偶発性キャリア戦略
1-9幸福OSを設計せよ — 4因子×キャリアの多目的最適化
1-10「可愛い子には旅をさせよ」の科学的真実
1-11世の中は平等か?努力と成果のギャップの現実
1-12きみの価値観は、本当にきみ自身のものか?
1-13幸せと収入を両立する理系キャリア設計術
1-14働くことと幸せ
1-15「幸せは収入だけじゃ測れない」— データで解く、お金と幸福の最適解
1-16「なんとかなる」で実際になんとかなる作戦
1-17「理系の特権を武器に」― お金を育てる4つの戦略と実践ステップ

 「幸せの青い鳥」の寓話※にあるように、幸せはどこか遠くにあって追い求めるものではなく、すでに「今ここ」に、足元に存在しているととらえよう――ということ。

たとえば、難しい問題を解けた、美しい数式で物事をシンプルに表現できた、実験がうまくいった。
あるいは「今日のカレーがおいしかった~、感謝!」といった瞬間もそう。

そうした目の前の小さな幸せとその実感を積み重ねることが、「幸せである(Being)」ということにつながる。
この気分の良い、ご機嫌な状態を積み重ねていくことこそが、キャリア構築につながる――というだけの話。

「本当にそうなの?」と、まだしっくりこない人もいるかもしれない。もう少し説明しよう。

 

前野隆司教授の研究

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の前野隆司教授。
日本の幸福学 研究の第一人者であり、元キヤノンのロボット研究者から転身し、「幸福」を科学的に研究している方だ。

前野教授は、1500人を対象とした統計解析により、幸せになるための4つの因子を科学的に導き出したんだ。
(詳細は著書『幸せのメカニズム』を参照)

幸せになるための4つの因子

  • 「やってみよう!」因子:自己実現と成長の因子
  • 「ありがとう!」因子:つながりと感謝の因子
  • 「なんとかなる!」因子:前向きと楽観の因子
  • 「あなたらしく!」因子:独立とマイペースの因子

これらを日常で実践していると、ご機嫌な状態を維持でき、
「幸せな状態(Being)」を継続できることが明らかになった。

これは、まさに「幸せな人生の仕組み」を科学的に整理した発見といえる。

 

幸せの因子とキャリア構築

つまり、キャリア構築の目標である
「幸せ=ご機嫌状態の継続」
は、この4つの因子を実践することで達成できるということ。

さらに言えば、「いま・ここ」で幸せを生み出し、感じていく心のあり方と行動が、キャリア構築そのもの。

4つの因子に照らし合わせると、

  • 前向きに、楽観的に、「なんとかなる」と考えてやってみる。
  • 自分らしさを大切にしながら、物事に取り組む。
  • 人を喜ばせ、感謝と愛情を持って接する。
  • 他者や社会に親切にする。

――こうした「つながりと感謝」の実践こそが、幸せであり、キャリア構築の本質だ。

これなら、時代がどんなに変わっても続けられる。
AI時代になっても、このマインドで過ごし、行動していけばいい。分かりやすいよね。

 

「働く」という言葉の語源

ちなみに、「働く」という言葉の語源が「傍(はた)を楽(らく)にする」だという話を聞いたことはあるかな?

前向きに、楽観的に、「なんとかなる」と考えてやってみる。
自分らしさを大切にしながら傍を楽にし、人を喜ばせ、親切にする。
愛情を持ち、社会の一員であることに感謝する。

こうして見ると、「幸せの4つの因子」と「働く(=キャリア構築)」がしっかりつながっていることが分かる。

 

ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)との関係

さらに言うと、これは「ガクチカ(学生時代に力を入れたエピソード)」そのものでもある。

前向きに、楽観的に、「なんとかなる」と考えてやってみる。
自分らしさを大切にしながら物事に取り組む。

――この「幸せの要素」を実践すること自体がキャリア構築であり、
同時にガクチカとしてアピールできる内容にもなる。

ガクチカとは、その人の性質や物事の見方、考え方、小さな成功体験を企業が知るための質問だけど、
本来的には「この応募者は幸せの因子を自発的に展開できているか?」「その実践を通じてキャリアを築けているか?」を見ているとも言える。

だからこそ、日々の学生生活の中で、

  • 「前向きに楽観的に、なんとかなると考えてやってみよう!」
  • 「人に親切にし、感謝する」

――という姿勢で行動することが大切。

それが幸せであり、キャリア構築でもあり、
結果として就職活動も自然に乗り越えられるようになる。

幸福がつながり、続いていく――それこそがキャリア形成の真の魅力であり、最も強固なキャリアの形だ。

 

幸せとは「状態(Being)」だ。このことを示す5人の権威を紹介しよう。

1. フランクル:幸せは目標ではなく、結果にすぎない

ヴィクトール・E・フランクル(1905–1997)
オーストリアの精神科医・心理学者。
ナチスの強制収容所を生き延び、その極限体験から「ロゴセラピー(意味による治療)」を創始した人物。
フロイト、ユング、アドラーに次ぐ「第4の巨頭」とも呼ばれ、代表作は『夜と霧』。

フランクルは収容所で原稿を失いながらも、記憶を頼りに書き直し、使命感によって苦難を乗り越えました。
その経験を踏まえ、彼は幸福について次のように語っている。

「しあわせは目標ではなく、結果にすぎない」
「幸福の追求は幸福を妨げます」

👉 幸福になる本当のコツは、「意思をもって今を生きる」こと。
幸福とは結果として生じるものであり、追い求める対象ではなく「状態(Being)」そのもの。

📋(補足:ロゴセラピーとは、人生の意味を見出すことで苦悩を乗り越える心理療法の一派)

 

2. 谷川俊太郎:「いま・ここ」にある幸せ

谷川俊太郎(1931–2024)
日本を代表する詩人。21歳で詩集『二十億光年の孤独』によりデビュー。

谷川俊太郎の幸福観は、日常の小さな瞬間に価値を見出すことの大切さを教えてくれる。

「幸せはささやかでいい、ささやかがいい。不幸はいつだってささやかじゃすまないんだから」
「幸せが自分の外にあるように思うのはアホ。外にあるのは幸せではなく不幸だけ」
「過去が気にならない、未来も気にならないで、『いま・ここ』に在る。これが僕の考える幸せの基本形です。」

👉 「将来への不安」や「過去の後悔」から心を解放し、
今取り組んでいる研究や技術、その瞬間そのものに幸せがあることを気づかせてくれる。

代表作:詩集『二十億光年の孤独』ほか。

 

3. 前野隆司:幸せの4因子

前野隆司(1962–)
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授。

「幸せになるための4つの因子」の詳細は上述した通り。

「Doing(行為)ではなくBeing(存在)で認めてくれる言葉――
『あなたがいてくれてよかった』が最強の褒め言葉です。」

👉 幸せは4つの因子を意識することで高められる。

著書:『幸せのメカニズム』『幸せの日本論』ほか。

 

4. アラン:幸福は意志の力で生まれる

アラン(本名:エミール=オーギュスト・シャルティエ, 1868–1951)
フランスの哲学者・教育者。
高校教師を務めながら新聞に4000篇以上の随筆(プロポ)を発表した。

その中から「幸福」について書かれた93篇をまとめた名著が『幸福論』。

「人は幸福だから笑うのではない。笑うから幸福になるのだ」
(『幸福論』より)

この逆説的な言葉には、アランの幸福観の核心がある。

👉 感情に流されず、「自分の態度で感情をつくる」という考え方。
朝、憂鬱に感じても、その感情に従うのではなく――
顔を洗い、服を整え、人に挨拶し、笑ってみる。
そうすることで心は自然と整い、幸福な状態(Being)が現れる。

理工系学生にとっても、困難や失敗に直面したとき、
「感情」ではなく「意志と行動」で状況を変える力を持つというヒントになる。

プログラムがエラーを出しても、実験がうまくいかなくても、
就職活動が思い通りに進まなくても――
それは一時的な「気分」にすぎない。
楽観的な意志と行動によって、幸せな状態を取り戻せる。

 

5. 禅・仏道思想:ただ在ることの智慧

禅・仏道思想は、神を中心にした宗教ではなく、
「物事を正しく認識して、幸せに生きるための方法論」として体系化された哲学。

道元(1200–1253)
日本曹洞宗の開祖。中国で「只管打坐(しかんたざ)」を学び、日本に伝えた。
主著は『正法眼蔵』。

「修証一等」(修行と悟りは一つである)
「只管打坐」(ただひたすら坐る)

👉 「ただプログラミングする」「ただ研究する」という純粋な態度そのものが、
幸せ(Being)につながるという考え方。

スティーブ・ジョブズも日本の禅僧に師事していたことで知られている。
禅は「目的を追う」よりも「今この瞬間に集中する」ことを重視している。

 

 

まとめに向けて

毎日ご機嫌に、自分らしさを出しながら前向きにチャレンジし、
人に感謝し、感謝される――

そんな生き方が、幸福でありキャリア構築でもあることが分かってきた。

でも、
👉 就職活動や社会人生活では、時間やお金など現実的な制約もあるよね。
その中でどう「幸せな状態」を保てばいいのだろう?

――次の章で、そのヒントを探っていこう。

 

次の章はこちら→【コース1-3】 欲望という名の燃料